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初めての忘れ物~氷点下10度の朝

      2016/05/10

「あなたはカメラを忘れて撮影に行ったことがありますか?」

僕は今までそんなことはありませんでした。

ありえないことだからです。

おそらくそんなことはほとんどの方が経験したことがないと思います。

昨日はとても忙しい一日でした。

帰り道、とても寒いのに霧がかかっていました。

そしてその霧の向こうに薄っすらとお月様が見えたのです。

とても綺麗でした。

霧と月のコラボを撮りたいと思いました。

でも恐らくすぐにレンズが結露してしまうでしょう。

それに、この気温だと凍りついてしまうと思いました。

カメラも自分も。

疲れていたこともあり、その夜は家で大人しく過ごすことにしました。

そして明日の朝(今朝ですね)、早起きして素敵な景色を撮ろうと決めました。
前日の夜から霧が発生して、明日の朝も冷え込む予報だったので、きっと幻想的で美しい光景が撮れると思いました。

 

翌朝、5時位に起きて、自宅から20分ほど離れた河川敷に行くことにしました。

カメラリュックに、必要な機材を詰め込みました。

ちょっと欲張って・・・

・24-70 f2.8(標準ズーム)

・70-200 f2.8(望遠ズーム)

・タムロン15-30 f2.8(超広角ズーム)

・200-500 f5.6(超望遠ズーム)
(美しい光景と野鳥のコラボを期待しました)

と、仕事前の朝散歩撮影には、ちょっと多すぎるレンズをチョイスしました。

すでにカメラリュックはパンパンでした。

ボディはニコンD810の1台で臨むことにしました。

(いつもはD750と2台体制が多いのですが)

河川敷まで約20分、撮影は約30~40分を予定しました。

部屋の窓を開け、外を見るとまだ薄暗く、朝焼けや日の出を期待しました。

ところが、思ったよりも風が強く、霧氷の発生は諦めざる得ませんでした。

昨日の霧と今朝の冷え込みで、無風であれば、かなり美しい霧氷が見れると想像していたのですが。

でもせっかく早起きもしたし、準備もしたので、行くことにしました。

行ってみなければ、何も得ることはできませんからね。

そしてカメラリュックがレンズで満載になったので、メッセンジャーバッグにカメラボディを入れていくことにしました。

メッセンジャーバッグには、財布やスマホ、飲み物なども入れました。

(いつもは近場の朝撮影であれば、財布やスマホは置いていくのですが)

その時、カメラリュックから出しておいたマクロレンズが気になって、

「よし、これも持って行こう!」

と、メッセンジャーバッグに詰め込んだのです。

完璧なラインナップでした。

どんなシチュエーションでも、撮る自信がありました、このレンズたちがあれば。

そして、ズシリと思いリュックとバッグを背負って、意気揚々に出発しました。

外に出てみると、思った以上に風が強く、体感気温は氷点下15度以下に感じられました。

バラクラバ(目出し帽)をインナーに被っていたので、鼻の上まで引っ張りあげました。

そして20分ほど歩き目的の河川敷に到着しました。

辺りは日曜日に降った雪がそのまま残り、水辺まで近付くのは結構大変でした。

でも1月1日に初日の出を山頂から拝んだ男です、僕は。

それくらいで諦めるわけなどなく、どんどん進みました。

そしてほんのり赤く染まった東の空を見て、

「よし、撮るぞ!!」

と強風の中、リュックを開けて準備を始めました。

「あれ?ボディない、ボディ」

ボディとはカメラ本体の事です。

通常レンズと本体を分けて保管しています。

「あ、メッセンジャーバッグか、笑い」

氷点下10度の強風の中、クスっと笑ってしまいました。

そしてメッセンジャーバッグを開けると、そこには・・・

「マクロレンズ」

タムロンの90mm f/2.8がいたのです。

「やぁ、おはよう!」

マクロレンズが笑っていました。

「ここには僕しかいないよ」と。

「えっ?ボディは?D810は?」

出かける際に、本当は置いてくるはずだったマクロレンズを、つい欲張ってバッグに入れたせいで、カメラ本体を忘れてきてしまったのです。

一瞬固まりました。

「レンズを5本持ってきて、ボディを忘れただと?」

自分を責めました。

家に取りに帰ろうかと思いました。

でも戻るのにさらに20分かかりますし、重たいレンズたちを持って走ることもできません。

路面はツルツルでしたし。

僕は諦めました。

ただ諦めました。

「何も出来ない・・・ボディを忘れたカメラマンは、無力だよ」

そう言って雪の上に置いたリュックを背負い、バッグを肩からかけました。

朝焼けはすでに始まっていて、僕が撮りたかった景色が強風の向こうに広がっていました。

「落ち着け・・・誰も悪くないよ、早起きして歩いたんだから、それでいいじゃないか」

そう自分に言い聞かせながら、帰ろうとしたその時です。

「スマホ」

その3文字が突然僕のなかに降りてきたのです!

実は、一眼レフに凝りだしてから、ほとんどスマホで撮影することは無くなってしまいました。

記録用だったり、仕事ではたまに使いますが、作品を撮ることに関しては使わなくなりました。

やはり、一眼レフカメラの画質に慣れてしまったせいもあると思います。

でもこの朝は違いました。

800万画素の広角単焦点内蔵デジタルカメラを僕は持っていたのです!

しかも近場であればほとんど持ち歩かないにも関わらず、なぜか持ってくるという幸運!

早速バッグからスマホを取り出しました。

しかし次の瞬間迷いが生まれました。

「寒い・・・風が強い・・・素手はキツい・・・」

スマホを操作するには素手じゃないと撮れません。

(カメラを起動さえすれば、ボリュームボタンで撮れますが)

でもそんなことは構っていられません。

僕は撮るために来たのです。

早起きして、重さ10kg弱の荷物を背負って、雪を掻き分けて。

ここで撮らなきゃいつ撮るんだ!

そう叫びながら素手になり、スマホを構えました。

冷たい風が手に突き刺さりました。

そしてその時撮ったのがこれです。

Apple iPhone 6 F/2.2 SS 1/120秒 ISO-50 焦点距離83mm

Apple iPhone 6
F/2.2 SS 1/120秒 ISO-50 焦点距離83mm

強風で川面には波が立っていました。

この頃には朝焼けはすでに落ち着き、東の空の雲が結構厚かったので、青みがかった氷に見えました。

あとで編集していて気付いたのですが、iPhoneも撮影データを調べることができるんですね。

AdobeのLightroomで見ることができました、データを。

それを見てちょっとびっくりしました。

設定は完全オートなので、自分で何もいじっていませんが、この暗さでISO-50って凄いな、と思いました。

明るいレンズとフルサイズのボディでもそんな設定はほとんどしません、この暗さでは。

それでもシャッタースピードが1/120秒あるので、それほどブレたわけでもないようでした。

絞りがF/2.2なのに、意外と被写界深度もあります。

ちなみにピントはどこに合わせたのかは忘れました(笑

寒くて、風が強くて、素手だったので、それどころではなかったのです。

そして次に、帰り道にもう一枚撮りました。

Apple iPhone 6 F/2.2 SS 1/250秒 ISO-32 焦点距離83mm

Apple iPhone 6
F/2.2 SS 1/250秒 ISO-32 焦点距離83mm

 

「さよなら河川敷」

というイメージです。

まぁ、このような感じの朝焼けで、太陽は雲に隠れてしまったので、目の覚めるような光景は見れなかったんですね。

そして向かい風の中、北西の方を向くと・・・

「あ!お月様!!」

今まさに地平線に沈もうとしている明るい月を見つけたのです。

地平線の近くの月ってとても大きく見えますよね?

「撮りたい!」

「撮りたかった!」

そう思いましたよ、本当に。

iPhoneで撮れば?と思いますよね。

でも僕は撮りませんでした。

スマホで月を撮ると・・・

「ガッカリする」

ということがわかっていたからです。

特に朝の月なんかはほとんど写りません。

こんな時のために、最高のレンズたちを持ってきたのに、せっかくのチャンスも逃すことになりました。

そして部屋に戻ると・・・

Apple iPhone 6 F/2.2 SS 1/15秒 ISO-400 焦点距離29mm(35mm換算)

Apple iPhone 6
F/2.2 SS 1/15秒 ISO-400 焦点距離29mm(35mm換算)

 

「オカエリ」

冷たくなってすっかり曇ったメガネを外すと、そこには留守番をしていた僕の相棒が待っていました。

「ただいま」

今朝は人生で初めて、カメラを忘れて撮影に行った、そんな忘れられない日になりました(苦笑


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