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ポータブル赤道儀で星空を撮ろう~スカイメモSを使ってみた

      2017/08/07

こんばんは。

幸せカメラの「KEN」です。

今回は、星空を美しく撮るためのアイテム「ポータブル赤道儀」について紹介したいと思います。

このポータブル赤道儀(略してポタ赤)を使って夜空を撮影すると、それまで見ることができなかった世界に出会うことができました。

それでは早速その性能と作例を紹介します。

詳しい使用方法については、今後別記事で取り上げたいと思います。

ポータブル赤道儀とは

スカイメモSを使って天の川を撮影している場面

 

まず「赤道儀とは何か?」についてですが、難しく考えるのは止めましょう♪

僕たちが夜空の星を眺めた時、しばらく見ていると星が動いているのがわかると思います。

地球が自転・公転しているからそう見えるんですね。

そしてこの赤道儀は、その動く星に合わせて「追尾」するように作られています。

別の言葉を使うと「日周運動に合わせて星を追尾する」と言えます。

 

赤道儀の向きを、天の北極(北極星あたり)に合わせることで、北半球では正確に星を追尾することが可能となります。
(これを「極軸に合わせる」と言います)

また赤道儀の種類は、天文台クラスからプロやハイアマチュア仕様の大型タイプ、そして手軽に持ち運べるポータブルサイズのタイプなどがあります。

今回はそのポータブルサイズの赤道儀を導入し使ってみました。
(導入時期は2017年の冬になります)

星を追尾して撮る理由

カメラ:NIKON D810
レンズ:SAMYANG 35mm F1.4
絞り:f/4.5 SS:48秒 ISO:320
焦点距離:35mm 三脚  RAW
赤道儀を使わないで撮影

 

地球上からだと、星は動いて見えますので、三脚に固定したカメラで撮ると、上の写真のように時間が経つほどに星が流れて写ります。

ネットや雑誌などで、北極星を中心とした渦の様な写真を見たことはないでしょうか?

それは通称「グルグル」と呼ばれています。

グルグルの写真を探してみたのですが、僕はほとんど撮ったことがなく、残念ながらお見せできません。

そしてグルグルは星景写真の1つの表現方法として素晴らしい技法だと思います。

→後日買ってきました、画像♪(カメラマンなのに、自分 笑)

これが日周運動のグルグル!

 

さてこの場合、地上の風景は流れないので、星の光跡と風景を絡めて印象的な作品になりますね。

(いつか撮ってみます、僕も♪)

カメラ:NIKON D810
レンズ:TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD
絞り:f/4 SS:194秒  ISO:640
焦点距離:15mm 三脚 RAW

上の写真は「プチグルグル」です(笑

北極星が大体中心になるようにセットし、約3分間露出してみました。

写真の中心よりも、外側の星が流れていて、回転しているように見えませんか?
(見えないかな?汗)

ただ、星の形を綺麗な光の「点」として写し撮るためには、この技法では露出時間を短くするしかありません。

例として、15mmほどの超広角レンズでは露出時間が20秒くらいまでが星を点として写す限界になります。

そして50mm、100mm、200mmと焦点距離が長くなるほど、短い時間で星が流れて写ります。

もうおわかりだと思いますが、赤道儀を使うと星を自動的に追尾するので、その弱い光を「点」として捉え続けることが可能なのです。

それでは、約1分間の露出でも星が流れていない写真がコチラです。

カメラ:NIKON D810
レンズ:TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD
絞り:f/3.2 SS:61秒  ISO:400
焦点距離:15mm 三脚 RAW
同条件の6枚を加算平均合成

この写真を見て何かに気付きませんか?

そう、星を追尾しているので、地上の風景が流れて写っています。
(6枚を合成しているので、山や街灯りがまるで段のようになっていますね)

地上部分を拡大

星空を撮影する星景写真の技法をまとめると、

  1. 赤道儀を使わない撮影では、時間が経つほどに星は流れ光跡が写る。
    (点として撮るにはISO感度を上げて短時間の露出で撮る)
  2. 赤道儀を使うと、時間が経っても星は点で写るが、地上の風景は流れて写る。
  3. 赤道儀を使いつつ、追尾速度を低速にして、星と地上の両方の景色が流れないように撮ることもできる。

星景写真の撮影方法は大きく分けると、大体このようなスタイルになります。

赤道儀を使うと低感度で撮影できるメリット

カメラ:NIKON D810
レンズ:TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD
絞り:f/2.8 SS:15秒  ISO:2000
焦点距離:15mm 三脚 RAW

 

赤道儀を使わないで星空を撮影する時は、ISO感度を高くすることになります。
(上の写真はISO-2000ですが、極寒だったので質感はまぁまぁだと思います)

星の光は弱いので、F値の明るいレンズを使ってさらに高感度にしなければ、沢山の星を写すことができないからです。

ということでISOを上げて高感度にするのですが、そのせいでノイズが増えることになります。

ノイズについてはコチラの記事も参考にどうぞ

ニコンD500を1年間使ってみて~野生動物を撮る

また星以外の夜空の暗い部分などの質感も悪くなり、あとから強めのノイズ補正をかけることになります。

すると繊細な星空の質感はますます失われてしまいます。

(最近のカメラは、高感度で撮影した画像をレタッチしても、状態はかなり良いとは思いますが)

そう考えると、通常の風景写真と同じくISO感度は低いほうが質感は良いです。

先程、通常の三脚固定撮影で、15mmの超広角レンズだと20秒くらいの露出時間で、星が流れない適正露出と書きましたが、他の要素も上げると、

  • なるべく明るいレンズで絞りは開放
  • ISOは1600~3600くらい

が適正露出になります。

人によってはISO感度をもっと上げる方もいます。
(高感度に強いカメラなら、ISO-10000も使えます)

そして次に赤道儀を使った撮影ですが、星を追尾するので、極端に言うと露出時間はどれだけ長くても星は点として写ることになります。

つまり、「露出時間を長くできる」「ISO感度を下げれる」ということです。

ISO感度を下げてノイズを少なくする

例として上げると、

  • ISO 1600で1分間露出
  • ISO 800で2分間露出

この両者で撮る写真の明るさは同じということになります。

そしてISO感度が低いほうがノイズが少ないですから、ISO 8002分間露出した方が、綺麗に写る場合が多いということです。
(後処理も楽になります)

赤道儀を使うと、

  • ISO感度は低くできる
  • 星を追尾するので露出時間は伸ばせる

ノイズが少なく画像の質感が良い状態で、星を綺麗に点として写せるのが、赤道儀を使う最大のメリットになると言えますね。

また、露出の設定ですが、絞り開放で2分間露出すると、ISOを400~800にしても明るくなりすぎる場合があるので、その場合は少し絞る時もあるくらいです。
(僕はいつもF2.8のレンズではF4に絞っています)

やはり、夜空の暗い部分の質感も大事ですからね。

それと、カメラに内蔵されている「ノイズリダクション」の機能はOFFにして撮影するのが望ましいです。

この機能をONにして撮影すると、撮影後に撮影時間と同じだけノイズリダクション処理に時間がかかります。

2分間露出すると、ノイズリダクションにもう2分間かかる訳です。

流星群などを撮影している時は、そのノイズリダクションの間に、流れ星を撮り逃してしまうかもしれませんね。

ノイズリダクションの処理はRAW現像ソフトを使って後からでもできますので、切っておくことをオススメします。

参考:ノイズリダクションとは、

撮影時に温度上昇などでセンサーに写るノイズを、同じ時間・条件でノイズだけ撮影し、そのデータを元にカメラ内でノイズを相殺して打ち消す機能です。

それでは次にポータブル赤道儀「スカイメモS」を選んだ理由を説明します。

スカイメモSを選んだ理由

スカイメモS 本体

 

実は、僕がこの「スカイメモS」を注文した日、直前まで別の機種に決めていました。

それはビクセンというメーカーから発売されている「ポラリエ」という名の有名なポタ赤で、スカイメモSとは同価格帯の機種でした。

そしてネット上でポラリエを注文しようと、様々なオプション品を追加していった結果、カートを見た時、

「あれ、金額が結構高いな」

と思ったのです。

本体だけ見るとスカイメモSとそれほど差はないのですが、周辺機器を全て追加するとなかなかの金額になりました。

そこで注文を一旦中止して、スカイメモSとオプション品をカートに入れて計算してみました。

すると、スカイメモSの方が安く済むことがわかったので、一気に気持ちが傾きました。

最後の決め手になったのは「搭載可能重量」の違いでした。

ポラリエの方が、約2.0kgまで搭載可能

スカイメモSは、約5.0kgまで可能

となっていました。

かなり違いますよね。

もちろん本体や周辺機器の重量も変わってきます。

  • ポラリエの方が軽く、搭載可能重量も少ない
  • スカイメモSの方が重く、搭載可能重量も多い

このような特徴が見えてきたのです。

携帯性を考えるとポラリエで、重いシステムを載せることを考えるとスカイメモ。

悩みました。

そして決めました。

「僕は重い方にする」と♪

何故かと言うと、200mmなどの望遠レンズでも撮影してみたかったからです。

そのためにはその重量に耐えるポタ赤でなければなりません。

という訳で、僕はスカイメモSに決めました。

これからポタ赤を導入する方は、予算もそうですが「搭載可能重量」に注目して下さい。
(もちろん携帯性も視野に)

スカイメモSとポラリエのスペック比較

専用の「微動雲台」と組み合わせています。

 

それではスカイメモSと、同価格帯のビクセン「ポラリエ」のスペックを比較してみたいと思います。

まずはスカイメモSから

トラッキングレート(追尾モード):恒星/太陽/月/0.5×/2×(駆動範囲60度)/6×(駆動範囲60度)/12×(駆動範囲60度)

搭載可能重量:約5kg(パーツ・ウエイト等含む)

極軸望遠鏡:内蔵型

オートガイド端子:RJ-12 6pin (ST-4 Type)

使用電源(推奨):単3形アルカリ乾電池4本(別売)

連続使用時間:約72時間(気温20度、恒星時駆動、アルカリ乾電池・インターバルタイマー未使用)

大きさ / 重量:173.5mm × 113.3mm × 96mm / 約1Kg

三脚取付けネジ:U3/8カメラメスネジ (U1/4変換アダプター付属)

明視野照明装置:ON/OFFスイッチ 明るさ調節可能

メーカーサイトからの引用です:Kenko  

ポイントとしては、先程挙げた「搭載可能重量」が5kgまであるということと、「極軸望遠鏡」が内蔵されているという点です。
(極軸望遠鏡は、天の北極に赤道儀を合わせる時に使います)

それと連続使用時間が72時間というのもかなり魅力です。

詳しい使い方については今後紹介しますね。

次にビクセンの「ポラリエ」の主要スペックを見てみます。

追尾機能:恒星時追尾、0.5倍速追尾(対恒星時)、太陽追尾(平均速度)、月追尾(平均速度)、北半球・南半球対応

搭載可能重量:雲台を含めて約2.0kg(モーメント荷重20kg・cm:回転中心より10cmで約2.0kg)

その他:コンパス内蔵

動作電源:単三電池×2本(アルカリ乾電池、Ni-MH充電池、Ni-Cd充電池に対応)外部電源:USB-mini B型対応外部電源

動作電圧:単三電池:DC2.4~3.0V 最大0.6A(2.0kg搭載時)外部電源:DC4.4~5.25V 最大0.3A(2.0kg搭載時)

連続作動時間:約2時間(20°C、2.0kg搭載時、アルカリ乾電池使用)

大きさ:95×137×58mm(突起部を除く)

重さ:740g(電池別)

メーカーサイトからの引用です:ビクセン

スカイメモSと比べると、「搭載可能重量」が2kgまで、「極軸望遠鏡」は別途取付という点、「連続動作時間」が2時間という部分が大きく違います。

やはり軽量で携帯性に優れるポラリエは、そのスペックもコンパクトということですね。

ただこのポラリエを使っているユーザーは多いようで、様々なパーツが充実していて、カスタマイズしていくことも可能です。

そういったポラリエのパーツ一式を全部揃えようと思ったのですが、そうなると金額も張るんですよ。

その点、スカイメモSの携帯性はポラリエに譲りますが、拡張性や堅牢性を考えるとコストパフォーマンスは高いと感じられました。

そして実際に届いたスカイメモSの付属品やオプションパーツを組んでみると、結構しっかりとしていることがわかりました。

試しに200mmの望遠レンズで撮影してみましたが、自分の想像以上の世界を見ることができて感動しましたよ。

こちらの写真になります。

カメラ:NIKON D750
レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8 ED VR
SS:60秒 絞り:f/4 ISO:400
焦点距離:200mm 赤道儀 RAW

天の川の一部を拡大して撮ることができました。

他にも・・・

カメラ:NIKON D750
レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8 ED VR
SS:50秒 絞り:f/4 ISO:400
焦点距離:200mm 赤道儀 RAW

 

今まで見ることも、撮ることもできなかった宇宙が、何だか近くに感じられましたよ。

(ソフトフィルターを使用しています)

D810を装着

 

このスカイメモSを手に入れてから約半年が経ちましたが、僕の使い方だとこちらを選択して正解でした。

今でも満足しています。

まとめ

カメラ:NIKON D810
レンズ:TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD
絞り:f/4 SS:121秒  ISO:800
焦点距離:15mm 赤道儀 RAW

 

思っていた以上に構造がシンプルで操作も簡単。

それでいて撮れる世界は無限大の可能性を秘めている。

ポータブル赤道儀にはそんな魅力がありました。

スカイメモSとしっかりした三脚、そしてカメラ機材一式を背負っての移動は大変ですが、それだけの価値はあります。

これからの夏の天体ショー「ペルセウス座流星群」や、秋から冬にかけての流星群なども、ポータブル赤道儀があれば沢山の枚数を「美しく」楽に撮ることができます。

僕は、流星群極大の日に、同じ構図で沢山の流れ星を撮り、後から比較明合成して一枚の写真にするのが目標です。
(一枚に沢山の流星が写っている写真)

今年(2017年)のペルセウス座流星群の極大日は、あいにく一晩中お月様が出ているようで、繊細な星々の観察には向かないようです。

でも明るいということは、風景を積極的に構図に入れることもできますし、明るく光る流れ星は月明かりがあってもしっかりと写ります。

そう考えると、月明かりの流星群も想い出になりそうですね。
(昨年のペルセウス座流星群は、月が沈む時間帯や、朝日が昇る頃にも流れ星を見れましたよ)

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後は「スカイメモS」のオプションパーツや、その使い方を紹介したいと思っております。

 

以下、望遠レンズや2台体勢で撮るときなど、必要になるアクセサリです。

 

最初からこのようなケースに入った物が欲しかったです。

よりコンパクトになった新型「スカイメモT」も発売されています。
こちらは、スマホで操作できるようです(スペックは今後要検証です)

 

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